2016年4月1日更新

「こんにちは~」勢いよく開いたドアから響く明るい声。
「は~い」答える声もまた朗らか。
JR加古川線日岡駅にほど近い、まだ懐かしい風景の残るエリアにこの小さなお店はあります。ランチタイムともなると、ヘルシーで美味しい料理がお目当てのお客さんで連日大盛況。
この日も次々訪れるランチのお客さんで、カウンターだけの店内はすぐに満席です。
どちらのお客さんも席に着くやいなや、にこやかに「ヒナちゃん、あのね~」
店主は料理の手際の良さはそのままにお客さんの話を「うんうん、それでそれで?」と楽しそうに聞き、会話を弾ませています。

笑顔になあれ

活動のきっかけ

今日お話を伺うのは、ここ創作料理「やさしい男の料理ひなた」の店主であり、地元BANBANテレビをはじめ多方面でタレントとしてもご活躍のヒナちゃんことヒナタコウイチさんです。
故郷である島根県を離れ、進学や就職でいろんな地域へ移り住み、様々な職種を経験し、縁あって現在加古川でお店を構えていらっしゃいます。

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―――いろんな活動をされていらっしゃいますが、テレビはどういう経緯で出演することになったんですか?

「たまたま旅先で出会ったテレビ関係者の方と飲みの場で盛り上がって、あれよあれよと言う間にBANBANテレビの料理コーナー出演が決まったんです。『えええ~本当に~?』って、びっくりの展開でした。冗談かなと思いましたよ~。ご縁ってすごいですよね。」と、ころころ笑うヒナタさん。

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番組の出演者として「キャラクターの強い人」を探していたとのことで、確かに出会った人を引き込む不思議な吸引力をお持ちです。
派手めな楽しいファッションと巧みな話術、料理店を営み、タレント活動に、歌手活動。それでもまだまだ一部のお顔しか覗かせてくれていないんじゃないかと思うほど、好奇心旺盛なその表情にこれからの活動の期待が膨らみます。

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野菜との出会い

取材という名のもとにウキウキとランチを楽しもうという一行の前に、いよいよお待ちかねのランチが登場。

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地元の野菜がたっぷりのランチは、品数が多くて色鮮やか。少しずついろんなものを食べたい女性の心を鷲掴みです。
素材の味を活かした料理の数々に舌鼓を打ちつつ、料理そしてお店への想いについて伺いました。

―――とても美味しいです。とくに野菜が。

「ありがとうございます。よく皆さんそうおっしゃるんですよね。でも最初から『野菜を出すぞ~』みたいな気持ちで作っていたわけではないんですよ。どうせなら体にいい美味しいものをお客さんに喜んで食べてもらいたいなあと思っていたらこうなってきた…って感じです。農業高校の関係者の方に野菜を紹介してもらったのもきっかけのひとつですね。そして、出演している番組で地元農家さんと出会って、播磨地域の野菜を知れば知るほど、こんなに美味しいんだから皆に食べてもらいたい!って。農家さんが丹精込めて作った野菜、そのままでももちろん美味しい野菜だけど、一手間加えてもっと美味しく食べてもらいたい。おうちのとはちょっと違う、でもお客さんがおうちに帰って真似して作れるようなそんな料理を提供したいんです。」
と、ヒナタさん。

なるほどヒナタさんの料理は力みがなく、どこか懐かしくあったかい。
店名にある「やさしい男の料理」という文字を見た時の「やさしい味の男の料理」なのか「やさしい男がつくる料理」なのかどっちなのかな?とぼんやり思っていた疑問。これは、どちらも正解!ですね。

お話に出てきた地元野菜の一部が委託販売されていて、この日は真っ赤な完熟トマトと肉厚のシイタケ、そして爽やかな香りのセロリが並んでいました。
そしてたまたま私たちの隣でランチをしていらしたお客さんが、実はそこに並んでいるシイタケを作った農家さんだと知ってびっくり。納品ついでにこうしてお食事をして帰られることも多いそうで、その和やかな雰囲気から農家さんとヒナタさんのあたたかな関係が垣間見られました。

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居心地を作り出すのは

カウンターで並んだだけの知らないお客さん同士、不思議と会話が弾んでしまうことの多いこのお店。この日もあちらこちらでお客さん同士のコニュニケーションが見られました。こちらで知り合って友達になった、仕事に繋がったという人もいるというのも頷けます。
いい間合いでヒナタさんが、皆さんを会話に巻き込んでいるからかもしれません。
和気あいあいと楽しい空間です。

―――居心地よくて、ほっこりします。長居しちゃいそうです。

「いいですよ(笑)お店を始めて三年目になるけれど、ここはお客さんが作ってくれている場所なんです。自分もお客さんも皆が居心地のいい場所になるようにと思っていたら、自然にこんな雰囲気になってました。『ただいま~』って自宅みたいな感じでやってくるお客さんもいますよ。こっちも『おかえり~』ってなりますけどね。お互いが居心地良く過ごすならやっぱり、人をけなさないことや、挨拶することやマナーを守るといったことはあたりまえだけど大切だなと思ってます。みんな笑顔で帰ってほしい。あとは自由に楽しんでくれたらいいんです。」と、癒し系と評判のスマイル。

「わがままな店主なんですよ。」

にこにこと話すその物腰は柔らかいけれど、譲れないポリシーを感じました。

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人と人との架け橋に

―――ここでは上のフロアを使ってワークショップやイベントも開催されているそうですね。どんなことをしているんですか?

「これも段々増えていったんですよね。ハンドマッサージ、粘土細工、ダンスなどのワークショップやカイロ、音楽ライブ、いろんなことを皆さんしています。きっかけを探している人って多いんですよ。技術があってもそれをどう世間に知ってもらったらいいか悩んでる人が。今こうしてお店をやっていけているのって周りの人のおかげだと思うんです。だから恩返しっていうわけじゃないけれど、やる気のある人、次に繋げるぞという意気込みのある人、本気の伝わる人を応援したいんです。」
人と人の繋がりを協力したい。自分は橋渡しをするお節介役。とヒナタさんはご自身をそう語りました。

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昼下がり。ランチタイムを終えて帰っていくお客さん。
使用済みの食器を簡単にまとめて、さりげなくヒナタさんの手の届きやすい場所に置きました。
カウンターの中で昼も夜もひとりバタバタ働くヒナタさんへの小さな気遣いです。

「ありがとう~またね!」

笑顔でお客さんを送り出します。
そして、ぽつりと

「優しい人ばっかりや」

お客さんの気持ち、受け止めて感謝しているヒナタさんの気持ち。
思いやりの連鎖。

お客さんの言葉に耳をかたむけ、楽しく、そして誠実に言葉を紡ぎだすヒナタさん。
そんなヒナタさんのもとに自然と人が集まり、皆さんで作った居心地の良さが広がっています。

知らない同士のお客さんでも、帰り際目が合って軽く微笑んで会釈をしたり、されたり。
それだけでちょっといい気分。心がふんわり。
お話の中で何度となくヒナタさんが口にした言葉

「お客さんを笑顔にしたい」

その気持ちはちゃんとお客さんに届いているんですね。

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そしてヒナタさんの地元愛は現在進行形です。
この地域の料理店の方々と農家さんとで、地元野菜を使った鍋料理のプロジェクトをあたためているそうです。遠い地からやってきたからこそわかる、ここらへんの良さを、発信してくれるヒナタさん。
これからも美味しい料理とその笑顔で、お店のお客さんを、そしてお茶の間を癒してくれることでしょう。

やさしい男の料理ひなた
兵庫県加古川市加古川町大野185-7
Tel: 0794-55-7236
*Open
<営業時間> ランチ11:30~15:00/ディナー18:00~22:00
<定休日>土・日・祝(※TV撮影による変動有り。お気軽にお尋ねください。)
*HP http://hinata222.wix.com/index

似顔絵_中野 似顔絵_丸山野

ヒナタコウイチさん(やさしい男の料理ひなた)のワークショップ