2017年11月2日更新

加古川市の寺家町商店街にある 00.Work Shop space&Officeは、加古川まちづくり舎が運営する、交流と働く場のあるレンタルスペースです。ここで月曜日の日替わり店長を務め、シニアの衣服なんでも相談ラボを主催している寄玉昌宏さんが、今回のきらっとさんです。

日常にワクワクを仕掛けよう


日常生活に関わる社会的課題の解決に取り組む、株式会社 Sydecas(シデカス)の代表である寄玉さんは、要介護者向けのルームウエア『ユニユルク』や自社オリジナルファッションブランド『ルリモ・ハリモ』を作られています。早速、商品を見せていただきました。

株式会社Sydecas(シデカス)の取り組み

「シデカスは、 System Design Caravaners(システムデザインキャラバナーズ)の略からつくられた造語です。仕組みをつくりだすキャラバナーズ(隊商を組む人たちの意)になりたいという思いと、どんなに優れたアイデアであっても、実行されなければ意味がないという意志を込めました。新作は、一人で介護を担う男性に向けたエプロンです。4WAY になっており、タオル掛けや携帯電話を入れるポケットを付けたり、D I Yにも使えるなど、機能性にこだわって作っています。」

生地は播州織のオリジナルテキスタイルを使用されており、色合いが美しく、柔らかくて丈夫です。

『ルリモ・ハリモ』は、介護をされる側の女性達が所有していた着物や帯を利用した、ポーチやバッグ、アクセサリーです。

「昔の着物は華美なものが多く、次の世代に譲ろうとしても着られないのですが、帯をバッグにリメイクして娘さんにプレゼントした時に、とても喜ばれたのです。」

アイデアや商品作りには、介護職経験のある中高年女性を中心としたデザインチームKAKOGAWAミシンラボ』が担います。

「60歳以上の女性が介護を仕事にするのは、足腰への負担が大きいので、新しい雇用の場を作りたいと考えていました。若い頃に洋裁を習っていた女性が多いので、ミシン縫いも得意ですよ。」

ふたつの会社に共通するもの

寄玉さんにはもうひとつ、株式会社株式会社エモズティラボ代表の顔もあります。
-高砂染の復興を目指す会社ですが、 Sydecasとは全く違う世界ですね。

「違うとは言い切れませんよ。高砂染は、高砂神社の相生の松をモチーフにした染めものですが、相生の松には尉(じょう)と姥(うば)の聖霊が宿っていると言われています。夫婦の和合や長寿を祝い願う謡曲・高砂と同じ、言祝ぎ(ことほぎ=寿の旧字体)の意味を持つものです。 Sydecasは、介護服の会社でなく、これからの家族のあり方をデザインする会社です。世代間の繋がりを大切にしたいという、家族円満や長寿を願う気持ちは共通です。」

会社名のエモズティラボは、染め(zome)を逆さ読みした Emoz(エモズ)、高砂の頭文字のT、ラボラトリーの labから付けられた名前であり、高砂染 復興後の新ブランド『a.m.ta(アムタ)』は、相生の松 in高砂から付けられた名前です。言祝ぎに焦点を当てている、エモズティラボならではのネーミングです。

高砂染を知る

「ユニユルクの生地とKAKOGAWAミシンラボの運営場所を探していた時に、高砂染と出会いました。高砂染は、約400年前に姫路藩の名家老、河合寸翁(かわいすんのう)が債務返済の改革を進める中で作った、姫路藩十七の特産品のひとつです。幕府への献上品として姫路城下で栄えましたが、珍しい手法のため手間を要し、コストが高いことから、姫路藩の保護を離れた明治維新後に廃れました。」

高砂染は、一度目に置いた糊を洗い流さずに二枚目の型を置くところが特徴的です。型は、和紙を柿渋で固めたものを利用していますが、強化させるために、和紙を割いて糸が貼ってあるそうです。

-高砂染を復興されようとしている理由を教えてください。
「今、高砂染を知っている人はほとんどいません。高砂染が産業として廃絶して、もうすぐ100年。人々の記憶から完全に消える前に、高砂染と技法を再興させたいのです。」

高砂染復興には、二大創業家である高砂市の尾崎家と姫路市の井上家の子孫も携わられています。エモズティラボ活動拠点の『高砂や』は、高砂市の銀座商店街にある、旧尾崎家の古民家です。
この場所で実際に、高砂染が作られていました。

「高砂染 復興資金を募ったクラウドファンディングが7月末に成功し、既に復興に着手しています。品質を高めるために、新ブランドa.m.taの完成時期が遅れていますが、平成30 4月にお披露目会をする予定です。」

株式会社エモズティラボのこれから

復興後は高砂染を展示し、今後の活動の礎とされます。
-エモズティラボの今後の活動予定をお聞かせください。

「地元の名を冠した美しい染め物の存在を、世の中に知らしめたい。高砂染を世界へ広めたいと考えています。インバウンド(訪日外国人旅行)でも、地域資源として利用したいですね。」

歴史的背景をストーリービジネスにして、丁寧に説明してくださった寄玉さん。播州織を用いたSydecasや高砂染の丁寧な技法と美しい布地は、ファストファッションを見慣れた目にはとても新鮮で、その背景を知ることで、より深く心に印象づけられました。

エモズティラボの今後の活動が楽しみです。

*株式会社Sydecas
https://www.facebook.com/sydecas/

*株式会社エモズティラボ
https://www.facebook.com/emoztlab/

寄玉 昌宏さん(株式会社Sydecas)のワークショップ